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恒川光太郎 / 夜市

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まだまだレビューしていきましょう。
2005年「第12回日本ホラー小説大賞」を受賞した作品。
幻想的だけどどこか怖い……本書にはそんなホラーの世界が描かれており、受賞作である
「夜市」に短編「風の古道」を加えた二本立てとなっています。

◇ ◇ ◇

十年前のある日……妖怪や悪魔が入り乱れる<夜市>に迷い込んだ裕司は、野球の才能を
手に入れる対価に連れ添った自分の弟を差し出した。

大学生になった裕司は友人のいずみを連れ、十年ぶりに<夜市>へと赴いた。

怪物達と彼等が売る異様な品々に目を白黒させるいずみを連れて、裕司はついに十年前に
弟を差し出した出店の前へとやって来た。

彼は弟と引き換えに何を差し出すのだろうか。
果たして、弟を無事取り戻す事ができるのか。

◇ ◇ ◇

読み終えてみて……作者の紹介欄にもある様に、どこか懐かしさを感じる作品でした。
誰もが読んだ事のある、学生時代の国語の教科書に出てくる物語などに近い印象です。
設定や背景などに関する過剰な描写をしない事で、読みやすさと幻想的な雰囲気が見事に
演出されていると思いました。

あらすじから、最初はやや児童書寄りな(失礼!)感じの話かな?と言う印象でした。
しかし、読み進めるにつれ、次第にそんな第一印象が覆りました。文面の読みやすさは
そのままに、ストーリーもしっかりと裏があり、時折ホラー小説らしいゾッとする様な
残酷さ/無慈悲さ/人間の悪意も描かれています。どちらかと言うと、ジャンル的には
ホラーよりダークファンタジー(似た様な物か?)に近いかなとも思います。

もっぱら、ライトノベルがメインの方にもこれはお勧めできます。
僕は本書で作者のファンになり「秋の牢獄」「雷の季節の終わりに」も買いましたwww

誰とは言えませんが、本書に出てくるある人物の生き様に浅倉はいたく感動しました!
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我孫子武丸 / 殺戮にいたる病

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去年の年末が近づいた頃に読んだミステリー小説。
これまでに読んだグロい小説の中で、堂々のワースト1位に輝いた作品であります。
あまりの猟奇性と、それを引き立てる異常なほどリアルで細かい描写に「げえっ……」と
なりながらも何とか読み終えましたが、今でも時折思い出して身体がゾクゾクします。

◇ ◇ ◇

連続殺人犯・蒲生稔。
歪んだ形でしか女性を愛せぬ彼は、永遠の愛を手にすべく恐ろしき凶行を繰り返す。
そんな彼が逮捕と言う結末を迎えたその場所は、たった今自らが行った殺人の現場。

彼の手に掛かった誰か死体。
その惨劇に号泣する<雅子>と言う女。
そして、彼女と共に駆けつけた警察OBである<樋口>と言う男。

「……本当に、お前が殺したのか?」
彼等の前で警察に連行されてゆく蒲生に向かって、樋口はそう訊ねた。

◇ ◇ ◇

裏表紙のあらすじを読むと、一見単なるサスペンス/ホラーかと思いますが、実は本作は
非常によく出来たミステリー小説です……殺人鬼である主人公が逮捕されるまでの経緯を
辿るストーリーで、知らずに読むと「淡々と犯罪者の動向が書かれてるだけじゃん?」と
放り出してしまうでしょうが、そこは「待った!」です。

この物語はクライマックスにこそ、大きな意味があるのです。
この物語は犯人が逮捕される<直前>をプロローグとして始まりますが、果たして逮捕の
<直前>に殺されたのは一体誰か……それを念頭に読むと良いでしょう。

グロには絶対の耐性がある!と言うミステリーファンの方なら、是非読んでみましょう。
ただし、内容的に未成年の方や、特に女性の方には決してお勧めできません……本当に。
全て皆様の自己責任で……僕はもうしばらく読みたくありませんがwww

倒錯のロンド / 折原一

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明けましておめでとうございます。
今年もメタラーと読書家を兼業(笑)な浅倉です。
お正月休みと言っても、初詣に行ったり親類とのご挨拶があったり、多少なりイベントは
ありますが、それを除けば普通の連休なわけで、ちょっと暇してますwww

ではでは、ちょうど昨晩に読み終えた小説をご紹介。

◇ ◇ ◇

自分の書いた小説が盗作され、あろう事か新人賞を取られた!?
月刊推理新人賞に応募すべく、山本安雄は骨身を削る思いで<幻の女>と言うタイトルの
推理小説を書き上げるも、ある事情から応募の目前にし、その原稿を紛失してしまった。
落胆に暮れながらも必死に作品を書き直し、何とか応募に漕ぎ付けた山本……だが、彼を
待ち受けていたのは、自分が書いたはずの<幻の女>が、全く別人の作品として新人賞に
選ばれたという、信じ難い結果発表であった……大事な作品と栄光を横取りされた山本の
<偽りの作者>への復讐劇……そして、盗作の真相に迫るサスペンス/ミステリー。

◇ ◇ ◇

良い作品を書くための地道な下積み、賞を取りプロになった後の苦労など、プロ/アマを
問わず、小説を書かれる方にはなかなか興味深く、共感できる作品ではと思います。僕は
特に主人公・山本の様にプロを目指しているわけではありませんが、作品作りに対しての
考え方には似た所があり、思わず笑ってしまった場面もwww

ただ、個人的にはやや「深読み」しすぎてしまったかと思います。
文章の端々から「ああ、そういう仕掛け?」といろいろ考えてみたのですが、そういった
先入観と真相の大きな食い違いや、ややまどろっこしい文の書かれ方が見受けられた事も
手伝い、読了後は「えっと……つまり、どういう事なんだ?」と混乱してしまいました。

こうした僕の様な混乱に陥らないために、本書が「どういったタイプのミステリーか」を
事前に出来るだけ知らない方が良いかも知れません……一読者としての参考までに。

綾辻行人 / 十角館の殺人<新装改訂版>

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新本格派ミステリー作家として有名な、綾辻行人先生のデビュー作。
初版は87年とかなり昔ですが、写真は07年に発売された新装改訂版の物となります。

◇ ◇ ◇

エラリィ/カー/ポウ/ルルウ/ヴァン/アガサ/オルツィ……。

互いを海外の有名なミステリー作家の名で呼び合う、七人の大学生がある島を訪れた。
孤島に佇む<十角館>と呼ばれる奇妙な建物……彼等はそこに、自分達が所属している
ミステリー研究会の旅行として一週間滞在する事にした。だが、突然起きたメンバーの
変死によって、彼等は何者かによる連続殺人へと巻き込まれ……。

◇ ◇ ◇

モチーフとしているアガサ・クリスティの代表作「そして誰もいなくなった」を、緻密な
ストーリーや<仕掛け>を加えて、より奥深くした作品だと思いました。
「そして誰もいなくなった」の方も読まれた方ならピンと来るかもしれませんが、本書の
結末は、ある意味で綾辻先生なりのそれに対する「If」ではないかと僕は思います。

両者を読まれた方ならば、何となくこの意味が分かっていただけるかとwww

本書で使われている<トリック>は、当時はまだあまり知られていない手法だったらしく、
全体的な完成度と相俟ってミステリー界に衝撃を与え、賛否両論を巻き起こしたそうです。

僕はもちろん肯定派ですwww
ただ残念なのが、綾辻先生のこうした手法を用いた作品は、既に他を少し読んでいたため、
真相が分かっても「あー、なるほど」という程度だった事です(苦笑)。犯行の一部にも
やや現実的に無理そうな点がありましたが……トータルで見た完成度の高さを考えれば、
それも霞むのでは?と思います。

ミステリー初心者の方には是非お勧めします。
あなたはこのトリックを見抜けるか?そして、読み終えてどんな顔をするのか?

H・P・ラブクラフト / ラブクラフト全集1

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菊地秀行氏やスティーヴン・キングに多大な影響を与えたとされる、戦前のアメリカで
活躍したホラー作家の作品をまとめた物です。

個人的には菊地秀行氏のルーツと言う事で興味を持った事がきっかけですが、少し前に
放送された某アニメの影響から購入される方も多数いらしたそうです(笑)

代表作「インスマウスの影」や「壁のなかの鼠」「死体安置所にて」「闇に囁くもの」の
4作を収録しており、全7巻が刊行されています。

読み終えた感想として、この作者の描く「ホラー」と言うのは姿形がハッキリと描かれた
「直接的なホラー」ではなく、あくまで全貌を明かさず「想像させるホラー」です。

奇妙な生物や事件の噂やその痕跡を描き、それが陰で蠢いている様子を描くという手法。
明かされてしまえばそれっきりなホラーではなく「謎」を残す事で永久的な不気味さを
創り出すと言った物で、菊地秀行氏の作品にもこうした影響が顕著ではと思います。

難点を言えば……これは万人の読者が思う事と思いますが、文章が非常に回りくどい。
状況を細かく説明しようとする意図は理解できるのですが、一つの文章の中に説明が多く
詰め込まれすぎていて、理解が追いつかない部分が多々あり、文法的にも怪しい(?)と
思ってしまう箇所があった様に思えます。

とは言え、そうした難点さえスルーできればとても楽しめる作品です。
ホラー好きな方や、想像力豊かと自負する方は是非、お手に取ってみて下さい。
浅倉も先日、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」と一緒に第二巻を買いました。
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